ネットで見かけた「これはちょっとねぇ」と思うようなニュース。
これは企業の「人手不足」に関するアンケート調査の結果の報道ですけど…
東京商工リサーチという信用調査会社が全国の企業にアンケート調査したそうです。
その内容というのが企業に人手不足についてアンケートを行ったとのことでした。
調査結果が報道されたみたいですが、この結果は何を意味するのか、と思いました。
これが全体の7割弱(構成比66.5%)の企業が正社員不足と回答したみたいですが…
さらに大企業では7割超(構成比73.2%)が正社員不足に陥っているそうですけど。
どこの企業も会社に忠誠を尽くして一生働いてくれる社員が足りないと大騒ぎして…
要は企業に必要な人材が欲しいのではなく都合よい社畜が欲しいのかなと思います。
企業は人手不足で正社員が足りないと大騒ぎですが、働き手は少ないと思います。
札幌の地下鉄にて正社員就職を目指す人の研修生募集の車内広告を見かけました。
人材会社が札幌市からの委託を受けて正社員を目指す人の研修を行うというもです。
とりあえず、人を寄せ集めて研修して正社員就職させよう、という感じみたいです。
条件は札幌圏に居住または通勤可能で札幌圏で働くこと希望する人とのことです。
これは札幌市民の税金を使って非正規労働者を席雇用に転換しようという試みです。
札幌市主催の就職支援事業なのに対象が札幌圏という幅広い地域なのが不思議です。
そんなことはさておき、正社員就職を目指す研修って何?、となるでしょうが…
お決まりのセミナーの組み合わせ、社会人常識やビジネス、就職活動準備みたいで…
まあ、口が裂けてもいえないけど正社員として働く上で全く役に立たない内容です。
社会人の常識を得体の知れない講師が登場すると机に向かう研修生に説明するだけ。
身だしなみ、お辞儀の仕方、電話の取り方、文章の書き方、大人に教えることなの。
ビジネスに関して何を教えるのか知らんけど、そんなもんはネットで分かりますよ。
就職活動準備では自分の過去を振り返って経歴の棚卸し、それに大事な企業研究と。
自分のことを分析して、企業のことを研究して、選考に向けた対策を立てるらしい。
そんなことを繰り返しても正社員就職ができないから研修を受けてるワケですけど。
ここまで前半の座学研修ですが、続いて後半の職場実習ということになります。
職場実習を行う企業は人材会社が探し出してくるのか、期待できないと思いますが…
研修を受ければ自分が思い描くような人生になると妄想するのは甘えた幻想ですよ。
冷静に考えてみれば、分かることなのですが、大企業は正社員不足と騒ぐワケです。
企業としては、新卒に限りなく近い若手の人材を社風に馴染ませたい、ということ。
そう、世界に通用する人財より会社に従順な社畜を育てたい、それだけのことです。
社会に放り出され、明るい未来を掴み取ろうと頑張ってきた人なんでどうでもいい。
若くて社会に染まっていない人を雇って会社に合わせた人財に育てたいみたいです。
しかも、長く働いてくれる人がいい、だから、歳を重ねている人は対象外なんです。
結局、就職支援を受けて正社員採用を目指す人はお呼びでない、という残酷な現実。
仮に就職できたとしても自分が思い描くような明るい未来ではないと思いますけど。
人手不足が顕著な運送業や宿泊業、飲食業、それに介護や福祉といったところかな。
正社員就職を目指す先に選びたくないような業種が人材不足で正社員を求めている。
これが目の前にある現実であり、職場実習先のリストを見た瞬間に愕然としますよ。
そもそも、人手不足の職種で働く気があるなら研修を受けずとも採用されそうです。
条件はもうひとつ、概ね50歳未満の求職者で就職氷河期世代もサポートらしいです。
非正規雇用やフリーターで正社員を目指す人、それに氷河期世代も対象に加えたと。
自分の歳を重ねて分かるのが、この国の多くの企業ではまとも働かせてもらえない。
人手不足の企業なら働かせてもらえますが、働くには厳しいかもしれませんけどね。
それは年齢的なものもあれば、体力的なものもあり、知的なものもあると思います。
国としてはそう遠くな未来のことを考えると恐ろしい現実が待っているということ。
氷河期世代が老後を迎えた時に社会保障費が恐ろしいことになるという公然の秘密。
ただでさせ、勝ち逃げ世代の高齢化で社会保障費が増大して大変な状況なのに、ね。
氷河期世代の大半は40代後半、ゼロスタートで正社員採用なんて無理ゲーでしょ。
仮に採用されたところで罰ゲームみたいな職場、人手不足の業種に押し込まれます。
その業種で働きたいのであればハッピーですが、働きたくなければバッドですよね。
結局、どんなサポートを受けようが思い描く未来はない、それは分かると思います。
最終的に(最近流行りの)公金チューチューシステムで儲かるのは人材会社だけ。
お得に(負担なしに)労働力を使えるとしたら研修生を受け入れた企業でしょうか。
研修生はどうかといえば、都合よく利用され、何も得るものなく終わりそうな予感。
そこは本人次第でしょう、現実を受け入れ前に進むか、現実から逃げようとするか。
こういうのって行政主催だから期待しがちですが民間企業に丸投げしてるだけです。
何か問題が起きて行政に苦情を入れても民間企業に対処させるだけの構図なんです。
最後までサポートすのも人材会社の仕事、見込みなければ匙投げて終わりですけど。
結局、混沌とした世の中でもがき苦しむ人を利用して稼ぐだけな現実だと思います。
コロナ禍を抜け出し、経済活動が回復基調の中、世の中は人手不足みたいです。
しかし、企業側と求職者の間には見えない壁があって越えられそうになさそうです。
厳しい現実というべきなのか、残念な現実というべきなのか、どうなんでしょう。
キャッチフレーズの「もっと「未来」を応援します」が滑稽に見えるのは気のせい。
こんな研修で人手不足が解決したら、こんなニュースなんて出ないと思いますよ。
そんなに人手不足なら氷河期世代を正社員雇用すればいい、希望者がいればですが…
あと、社内で働く派遣社員を正社員雇用に切り替えれば即戦力になってくれるはず。
となるはずですが、都合良く使える若手や中堅で即戦力の雇用になりがちみたい。
ひとつのニュースを読んで、ひとつの広告を思い出し、色々考えてみました。
中途半端に答えを出してみましたが、そういう現実あるみたい、これが問題ですね。
今となっては解決困難な問題、長い時を経て問題は表面化、未来はどうなるのかな。